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マイナ保険証トラブルの実態調査 “顔認証付きカードリーダーで認証ができない”という現場の大混乱

 

◾️顔認証のやり方がわからず断念したケースも

 

 岸田総理大臣は相次ぐマイナンバー関連のトラブルを重く受け止め、来年の秋をめどに政府全体でマイナンバーに関連する手続きの「総点検」を行う意向を示しました。

 今後、約1年間で総点検と再発防止策を講じていくことになりそうです。(注4

 次々と問題が表面化しているマイナ保険証を含めたマイナンバー関連への対策に加えて、マイナンバー関連制度の整備を同時に進めていくことを考えると、1年という期間が信頼あるマイナンバー制度を構築するのに十分な期間なのか疑問が残りますが、ここでデジタル化への移行が止まってしまうことはあってはならず、関係各位のみなさまには頑張って頂きたく思うところです。

 また、松野官房長官はマイナ保険証をなんらかの事情で持たない人に向けた「資格確認証」については、廃止期限を設けたり、有料化したりすることを想定していないと明言しています。なので、「マイナ保険証がないから健康保険が使えなくなる」といったことはないように感じますが、数年後~数十年後にはどうなっているか分からないというのが率直な感想です。

 現状、マイナ保険証と保険証は両方使用することが可能なので、マイナ保険証を利用する側としては、トラブルを避けるために保険証も持って行く方がいいかもしれません。

 気持ち的には、マイナ保険証を使えるようにしたのに、保険証を持って行くというのはもどかしくなるところではありますが、現在は保険証からマイナ保険証への移行期間でもあるため、「備えあれば憂いなし」といった時期だと思います。

 全国保険医団体連合会の調査内容にある現場の声では、「顔認証付きカードリーダー」での認証で、ご高齢のかたが顔認証のやり方がよくわからずタイムアウトになり断念したケースや、顔認証ではなく暗証番号で認証しようにも暗証番号を覚えていないケースでトラブルになっている実情があるようです。こういったマイナ保険証での認証が困難な人には保険証が使える間は保険証を使って頂き、保険証廃止後は資格確認書を推奨していくべきなのではないかなと感じました。

 デジタル機器の扱いはどれだけ簡単な作りにしても、使えない覚えられない人が一定数出てきますし、そういった方々に使うことを推奨するのは酷なのではないでしょうか。

 

注)

4) 保険証廃止は「不安払拭措置の完了が大前提」 首相記者会見要旨 2023/6/21
https://www.sankei.com/article/20230621-AGA2KJQRK5KA5OGBAUQFF3IFF4/

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谷龍哉

たに りゅうや

谷 龍哉(たに・りゅうや)

1983年生まれ。三重県伊勢市出身。ネット情報アナリストとして、インターネット上の社会事象や問題発生の経緯の情報収集、分析に従事。

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